うつくしき郷土玩具 vol.4「セワポロロ」

はじめてその存在を知ったのは、無印良品が毎年お正月に販売している「福缶」がきっかけでした。
つぶらな瞳と小動物のような耳、ふわふわとくるくるを身に纏っていて、しかも名前が「セワポロロ」。
これはもう、一目惚れというやつです。ぜひ我が家にも来てほしい!
しかし、気づいたときにはもうすでに福缶のラインナップから外れていたため、手に入れる方法がわりません。
通販サイトなどはなく、フリマサイトでいくつか見かけましたが転売目的のようなものばかり。
どうしたものかと途方に暮れていたところ、その話を聞いた北海道出身の友人が、帰省した際にわざわざ買いに行ってくれました。
セワポロロ(招福の使者)は、北海道網走市にある大広民芸店で作られています。
セワとは神をさす言葉で、ウイルタ族という北方民族がお守りや祭りの道具として造っていたものだそう。
そのセワを元にしてつくられた木偶が、このセワポロロ。
首に巻かれたくるくるは、木を細く削いで作られた「イナウ」というもの。アイヌの儀式などでも使われている、カムイ(神)とアイヌ(人間)のあいだを取り持つ神聖なアイテムなのです。
説明だけ見るとなんだか厳かな雰囲気ですが、当の本人はそんなことなんて気にしていないようなあっけらかんとした表情。
ただそこにいてくれるだけでちょっと幸せな気分になる、不思議な精霊です。

おまけ。
吹田市の国立民族学博物館で見かけた「男女の守護神像」もかわいい。